炭坑夫の末裔たち

かつて炭坑で賑わったまちの日常譚。飽くまでフィクション、です。

生活保護

ヨシオ婆さん

ばってん荒川、志村けん、由利徹、桑原和男、青島幸雄・・・。著名な「男の婆さん」を挙げてみた。 三年前に亡くなったヨシオ婆さんは、市井の人だが、本物の「男の婆さん」だった。 ヨシオ婆さんが生まれたのは、県北部の観光地として有名な城下町。古風で閉…

石炭を売っていたという早野の爺さん

早野という爺さんがいる。 だいぶ老いてはいるが、気はシッカリしている。昼間、自転車をすいすい漕いでどこかへ出かける姿がよく見られる。 暇なのか元来の話好きなのかは知らないが、近所の者を捕まえてはいろいろと話して聞かせる。例えば、電車の中で突…

Fさんの奥さんが立ち上がった日

佐村河内守とかいう人が話題になっている。 私はつい数日前までこの人の存在を知らなかった。このずいぶんと重たそうな名前を初めて見たときは、「サムラカワチノカミ」という昔の殿様の話かと思った。 世間には麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚のエピソードと…

ヤエさん

松井ヤエさんは長崎の出身だ。原爆が投下されたとき中学生だったというから、今はもう80歳を超えている。 本人の話によれば、若い頃に長崎市内でも老舗の商店に嫁いだそうだ。しかし、ヤエさんが某新興宗教に入信し熱心に題目を唱えるようになったために家を…

高齢者カップル

偽装離婚、偽装母子という言葉がある。事実上は夫婦関係が続いていても離婚届けを出す、あるいはほとんど夫婦同然の暮らしをしていても婚姻届を出さない。要するに、生活保護費を多めに頂戴するための悪知恵である。 大村トキさんと浦川氏は、二人とも70歳…