炭坑夫の末裔たち

かつて炭坑で賑わったまちの日常譚。飽くまでフィクション、です。

2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

石炭を売っていたという早野の爺さん

早野という爺さんがいる。 だいぶ老いてはいるが、気はシッカリしている。昼間、自転車をすいすい漕いでどこかへ出かける姿がよく見られる。 暇なのか元来の話好きなのかは知らないが、近所の者を捕まえてはいろいろと話して聞かせる。例えば、電車の中で突…

宅配ピザ

このまちの人口は17万人ちょい。その割には多すぎるのではないかと思われる商売がいくつかある。整骨院、歯科医院、理容・美容院、スナック、ケーキ屋など。整骨院の多さはここがかつての炭坑町であったことの名残だろう。スナックの多さは、このまちには…

Fさんの奥さんが立ち上がった日

佐村河内守とかいう人が話題になっている。 私はつい数日前までこの人の存在を知らなかった。このずいぶんと重たそうな名前を初めて見たときは、「サムラカワチノカミ」という昔の殿様の話かと思った。 世間には麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚のエピソードと…