炭坑夫の末裔たち

かつて炭坑で賑わったまちの日常譚。飽くまでフィクション、です。

同調圧力

三上さんの隣のカルト

近所のアパートで独り暮らしだった三上さんは、72歳という割には風貌も若々しく、人懐っこくて社交的な性格だった。スリムな体形にいつもジーンズ。もちろん"Mom Jeans"なんかじゃない、普通のジーパンだ。口ひげをたくわえ、晩年のチェット・ベイカーにもど…

産学官

ゴールデンウィークも終わり、日差しが強い。 この季節になると、町には海側からの風が吹き込む。 海側の風は暖かで適度な湿り気があり、それ自体は快適だ。ただし鼻が詰まっていればの話であるが。 海からの風は、上陸時に海岸のコンビナートから強い刺激臭…